入社半年の新人だからということもあって在宅勤務ではなく毎日出社している。
ついこの前、中野で東西線に乗って、席に座って発車するのを待っていたら、後から乗ってきたちょっと様子がおかしい人に、
どいてよ！そこあたしが座るんだから！
と言われた。車内はガラガラだったけどそのとき私はみんな座りたがる角の席に座っていて、その人は自分がそこに座るからお前は一つ横にずれろ、という意味のジェスチャーをしていた。
びっくりして、こういうの久しぶりだな、どうするのが正解なんだ、と思いながら5秒くらい相手の顔を凝視し（運動神経が悪いからとっさに反応できないのに加えて、こいつの顔をじっと見てやろうという意地の悪い気持ちももちろんあった）、返事をしないでその場を離れた。うしろでその人がなによ！とか言ってるのが聞こえた。
ガラガラだったから普通に少し離れたところにまた座り、まあ今の判断がベストだろと今の出来事を振り返って咀嚼しようとしたけど、考えれば考えるほど自分の判断が正しかったのかわからなくなった。
いつもその席に座っているとかその場所にこだわりがあるとか何か事情があるんだろうけど、そこに座ってたのが私じゃなかったら、スーツ着たおじさんだったら、身長190cm体重120kgだったら、金髪で眉毛全剃りしてたら、「外国人」に見える風貌だったら、女じゃなかったら、そいつは果たして絡んできたのか？ということに思い至り、要するに見た目で舐められたんだとだんだんわかってきて畜生、死んでやると思った。憤死。このクソ世界でチビの女というラベルを貼った状態で他人からまなざされていることを思うと本当にいやになる。
そして私の判断は全然正解なんかじゃなかった。絡んでも自分の身に危険が及ばなさそうに見える相手を狙って因縁つけて、自分の望み通りの結果を得るという成功体験を相手に与えてしまった。より嫌な思いをすることになってもお客様同士のトラブルで電車を遅らせてもいいから闘うべきだったのだ。
とっさに怒る瞬発力が大事とはよく聞くけどこういうことか、と実感した。とっさにデカい声出すのはハードルが高いから今度こういうことがあったら睨みつけるか白目剥いて相手に恐怖を与えてみます。
